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〈数学を使う〉…イメージ

9月9日
メーリングリストというネット上のコミュンケーション手段があります。メールを一通出せば,そのメーリングリストのメンバー全員に届くというものです。
わたしは,仮説実験授業研究会会員を中心にした障害児教育のメーリングリストに参加しています。
そこへ書き込んだ文章をここに写しておきます。
〈折りは数学で,染めは化学〉というのはわたしがよく言っている言葉ですが,おりぞめを研究していく中で,わたしは数学を使っています。その〈数学を使う〉というのがどういうことかを書いたものです。
おりぞめを楽しむというのであれば,知る必要はないです。わたしはこうしているということを書き残しているだけです。
もしかしたら,〈数学を使わない〉ということで新しいことが見つかるかもしれません。そんな選択肢のためにもわたしの選択肢を残しておきます。
メーリングリストのメンバーに書いたものなのでわかりにくいところもあるかもしれませんが,そのままにしてあります。

〈数学を使う〉のイメージ
〈数学を使う〉ということでわたしはこう考えて実行している,ということを書いておきます。
あくまでもわたしの選択肢です。
●大学生のころの〈数学を使う〉のイメージ
わたしは英語や国語の文系は苦手意識でダメ,芸術系,運動系もダメだけど,理系は得意という学生でした。化学系の学科だったので,実験がたくさんありました。
その時に<数学を使う>は,わたしにとって〈計算する〉というイメージでした。
今でも,わたしの中で感動的に覚えているのは,最初の大学での実験のとき,試験管を洗うのに,例えば,100mlの水で1回洗うのと,10mlで10回洗うのとどちらが汚れが落ちるのか,という問題でした。これを数学で計算したときは理系男子のわたしは感動しました。<オー,数学は使える>というわけです。
●教師になってからの〈数学を使う〉のイメージ
大学時代は周りは理系ばかりだったので気がつきませんでしたが,教師になると<数学嫌いの人>がいたりします。というか,わたしの方が圧倒的に少数派だったりしました。多数派の人たちにとっては〈数学を使うのは難しい〉というイメージでした。そうなんだという程度で,わたしは計算して数学を使っていたというわけです。
●おりぞめを研究するようになってからの〈数学を使う〉のイメージ
おりぞめを研究するようになって気になったのは〈数学を使うのは難しい〉というイメージです。
わたし自身の実感とはずれているのです。だからと言って,〈数学を使うのは易しい〉というイメージではありません。
数学を使うのは,難しいことも易しいこともある,というのがわたしの実感なのです。

そこで,その違和感をかかえているうちに思いつくのです。わたしからすれば,〈数学を使うのは難しい〉というイメージは,<花は美しい>というイメージと同じなのです。
もちろん,美しい花もありますが,<花>の本質的なイメージは違います。それは《花と実》の授業書で学んだのです。では〈数学を使う〉の本質的なイメージは何か,ということでわたしのたどり着いた考えを書きます。
●数学を使うの一例
まず,イメージを描く前に〈数学を使うの例〉を書きます。
江口さんが銀河Kをつくっているというメールにこんな文章があります。
==
きょうは〈墨染め〉をしました。
ざっと120枚ほど染めました。
一部分ですが、写真を添付します。
==
とあります。写真を見て,そうか一部分かと思って,では,どれくらいかと枚数を数えて,60枚ぐらいと数えるのが〈数学を使う〉というわたしのイメージです。
どうですか<一部分>という言葉からのイメージと〈120枚のうちの約60枚〉というイメージでは違いませんか。
●もう一つの例
カードがあり,片面には〈0〉,もう片面には〈1〉が書いてあります。
1枚だけカードを置くと表に見えるのは〈0〉か〈1〉の二通り。では,2枚並べだと。
〈00〉〈01〉〈10〉〈11〉の四通り。では,16枚だとどれくらいだと思いますか。
たくさんということはわかると思います。ではどれくらいたくさんなのか。
計算方法の理屈の説明はスルーしますが,2の16乗,すなわち,65536通りです。多いか少ないかは別にして,これ以上はないということははっきりしています。
●〈数学を使う〉のイメージ
〈数学を使うのは難しい〉というイメージではなくて,〈数学を使うことではっきりさせる〉というのがわたしのたどり着いた本質的なイメージです。
グラフを描くのも〈数学を使ってはっきりさせる〉ということです。池上さんの<1まん円>(1はまるいちの表記です)の授業プランも〈数学を使ってはっきりさせる〉というプランの側面もあるとわたしは思っています。
例えば,三角形の内角の和は180度,というのがあります。これを使えば,三角形の二つの角度が分かれば,もう一つの角度は計算でわかるわけです。これが〈数学を使ってはっきりさせる〉というわたしのイメージです。
●程度の問題
江口さんの画像を数えて,60枚ではなくて63だとか,59だとかいう人もいるかもしれません。
それは,〈どの程度はっきりさせればいいのか〉という問題です。この場合だと,30や40枚,あるいは80や90枚でないということが分かればいいとわたしは思うのです。〈一部分〉より〈約60枚〉の方がはっきりしているとわたしは考えているのです。それでは不十分だという人もいるかもしれませんが,それはその人が選択肢を示して,使えばいいのです。
●〈数学を使うのは難しい〉
実は,わたし自身は〈数学を使ってはっきりさせる〉というイメージを使うのは難しいと思っています。
これは,《ばねと力》で「力の原理」を知った上でもそれを使うのは難しい。〈仮説実験の論理を認めても使うのは難しい〉と同じことを感じるのです。
〈数学を使う〉でもうひとつ例を書いておきます。数学の有名な問題に<4色問題>というのがあります。簡単に言ってしまえば,平面上の地図で隣に同じ色にならないように塗り分けるには最低4色あればいいかというわけです。
証明は分からないけれど,もし塗り分けて4色で塗れないとしたら,<4色で塗れる>というのが間違っていると考えないで,〈わたしの塗り方がどこか間違えている〉と考えるのが,数学を使ってはっきりさせるというイメージです。
それと,実際問題としては,〈塗らない〉を白色の一色と考えれば,実際には色鉛筆は3本でいけるというわけです。これも数学を使ってはっきりさせていることになります。(わたし自身の遊びとしてステンドおりぞめで3色+塗らないの4色で塗り分ける,というのをしていることもあります)
*****
実際問題としては,何でも数学を使えばはっきりするというわけではありません。はっきりさせるのが難しいということだってあるのです。それは「数学を使うのが難しい」のではなくて,「数学を使ってはっきりさせるのが難しい」ということだとわたしは思っています。

あくまでもわたしの選択肢です。他の方法で数学を使っている人もいるかもしれません。要は,数学を使って,今までにない新しいことを見つけられるといいな,それは,数学は難しいと思っている人も<はっきりさせる>ということに取り組めばできるのではとわたしは思っているのです。
まあ,こんなことを考えて実行しているやつもおる,ということで,わたしの内幕を紹介しておきます。

やまもととしき

追記
江口さんの銀河Kを紹介しているブログの記事に
<江口マコト>さんと表記していますが,これは江口さんのアイデアです。
<志田タツヒコ>さんはその応用です。
ブログに氏名をどう表記するかは悩みの種でした。今まで,名字の感じだけ,名前の方かなを使ったりいろいろしていたので,組み合わせればいいというのは,<オーそうか>というほどでした。
ずっと,これで行くかどうかは別にして選択肢が出てきました。
江口さん,ありがとうございました。

***
ステンドおりぞめ,自由に好きにするのも面白いですが,隣り合うところには同じ色を置かない,という束縛でやってみるのも面白いです。その時に,3色+白色(塗らない)の4色で塗り分けることができるはずです。もし,できないとしたら,それは塗り方を間違えたということになります。
まあ,まちがえても,たいしたことはありません。
***
〈数学を使う〉という選択肢もあり,ということです。



by orizome | 2015-09-09 19:13 | その他 | Comments(0)

紙に染料をつけて染めるものづくりの<おりぞめ>噺。ものづくりはたのしさつくり。おりぞめ染伝人(山本俊樹)メールアドレス orizome●live.jp
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