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<数学ツカイのレポート>のレポート

2017年5月15日
13日に,京都で
という講座をしてきました。
主催者の本田さんから,14日の朝の5時にメールをいただきました。
昨日はありがとうございました。
「その道を究めようとしている人の話はおもしろいなあ」と改めて思いました。
来年度は「おりぞめ講座」として企画したいと思います。
1時30分開始で,実際におりぞめを実施したのは,3時ごろからというわたしにとっては,異例な講座でした。
参加者は,主催者の本田さん,算数サークルのメンバーの方がお二人,合計三人。それと遠くからおりぞめ研究仲間の夏目さん。そして,知代さんとわたし,全部で6名でスタート。おりぞめ講座の始まる直前に算数サークルのメンバーの方が一人増えて7人。
1時30分から3時前までのわたしの<数学ツカイのレポート>の話を流れとは記憶違いがあるかもしれませんが,内容を書き記しておきます。
わたし自身も細かいことは忘れてしまうかもしれませんし,こんな話をする機会もないと思うので,残しておきます。
はじめに,夏目さんと算数サークルの人たちがお互いのことを知らないので,簡単に自己紹介。全員,現場から退職している人たち。
わたしから,今日の講座の注意を三つ(下の資料のその一から三まで)と,<数学ツカイ>として使っている二つの話からはじめました。
一つは計算力。「といっても,小中学程度。四則計算,ルート」というと,本田さんから<ルートを使っているのはすごい>というツッコミが入ったのです。
ルートの話をしました。
まず,ルートのイメージ作り。
数直線をホワイトボードに書いて(ここでは浮かべてください),1は√1,2は√4,3は√9,4は√16,5は√25,,,,,8は√64,9は√81,10は√100。
ということは,1と2の間には√2と√3のふたつ。2と3の間には,√5.√6,√7,√8の4つ,,,,,9と10の間には,√82~√99の18個あります,というような話をして,その中で使っているのは二つだけ。
一つは√2(ルート2),もう一つは1/√2(ルート2分の1)
√2は正方形の対角線の長さ。それと√2×√2=2 1/√2×1/√2=1/2。(この二つをどう使っているかはこの場では説明はしませんでした。コピーでの拡大・縮小の時にみんな使っているのです)
(もう一つ使うとしたら,正三角形の半分の三角形の辺の長さを考えるときに出てくる√3,でも,ほとんど使いません,という話を付け加えました。)
このルートの話は予定外だったのですが,この話のおかげで算数サークルの人たちには,<こいつの話は,変わっていて面白いかも>と思われた気がします。
続きますが,当日配った資料の1ページ目を紹介しておきます。
<数学ツカイのレポート>のレポート_f0213891_21361528.jpg
「もう一つは,記号です。」と話して,これについては,すぐに反応がなかったので,「=(等号)です」といいました。
「等号は同じという意味ですが,同じといっても二つあります。」
「一つはA=A,もう一つはA=B。A=Aは同じものが同じで,A=Bはちがうものが同じという意味」というようなことを言って問題を出しました。
「同じ一万円札」という言い方をするとき,A=Aの場合とA=Bの場合を考えてください。
A=Bはすぐに出てきました。古いお札でも新札でも同じ一万円札,というわけです。A=Aの方が出てこないので,次のような話をしました。

<同じ>というとき,そのイメージは2種類あります。
例えば,「同じ一万円札」といったとき,どのような状況で使われていると思いますか。
一つは,「これは身代金に使われた同じ一万円」。もう一つは,「このしわくちゃの一万円も,この新札も同じ一万円」。
前の身代金の場合は「同じ一万円札」という意味で,あとのは,見た目は正反対だけど,「一万円の価値は同じ」という意味です。
言うなれば,まったく同一という意味の「AA」と違うけれど,同じところがある「AB」というものです。
=(等号)の記号の大事なことは<ちがうものが同じ>ということだと説明。この後資料の2ページ目へ。
2ページ目は板倉聖宣さんの

イコールは 等しくもあり 等しくもなし

●等号=イコールの矛盾論●

板倉聖宣『ものの見方考え方シリーズ2 発想法かるた ――発想を豊かにすることわざ・格言集』より  (仮説社発行 税別1600)
を印刷したものを配りました。ここはブログなので,掲載はしません。ぜひ,元の本をご覧ください。
(印刷した資料には,

とことん使って 限界を知る

●法則・真理の適用限界●

という,同じ本に載っている文章も載せてあります。今回の講座ではこの資料については触れていませんが,後で読んだ時になるほど思ってもらえるように,余白があったので載せました。)
(山本注:講座では話をしなかったのですが,つけくわえ
<イコールは等しくもあり,等しくもなし>というのを理解するのは簡単だけど,これを使うのは本当に難しいと思っています。
猛獣使いといえば,同時に鞭が浮かびますが,数学ツカイにとっての鞭にあたるのが=という記号だとわたしは思っています。ここから後,数学を使うメリットとデメリットの話をするのですが,その間にも=を使うのはたびたび出てきます。ここではそこを書ききっていないを選んでいることを告白しておきます。)
ちがうものが同じというのを説明するために
π=3.14……
というのを書きました。
ここで,πというのは円周率で,直径と円周の割合が円の大きさに関係なく一定ということです。
ここで,左側のπは円周率という意味で,右側の3.14…はその数値です。違うものが同じというわけです。
=の重要なのは,何を同じとみて,何をちがうとみるかということで,こんな話も付け加えました。
くしゃくしゃの一万円札も新札の一万円札も価値としては同じですが,状況によってはちがうものとして扱われるという場合です。
結婚式のお祝いに持って行くとき,くしゃくしゃではなくて,新札を持って行くようにしませんか。このときは,同じ価値の一万円札でも,同じように扱われないのです。イコールは等しくもあり,等しくもなし,というわけです。
わたしのこんな話に慣れている夏目さんと知代さんはどうかわかりませんが,その場にいた三人の人たちにとっては,衝撃的だったのではと思います。
会が終わって,駐車場まで荷物を運んだとき,本田さんが,わたしの話を<大好物>といってくださいました。この言葉を聞いただけで,この会はわたしのとってもうれしい会になりました。
さて,時間を戻します。
このあと,メリットとデメリットに移ります。
数学を使う立場でのメリットは,<見通しを持てること>です。
ここでだんだんツリーの数字の話をしました。
ここで,本田さん。<どうして2,4倍になるのか,気になる>というようなことを言われました。
わたしの好物登場。
<使うということはそれを信じていなければ使えない>という予定の話をここに入れました。
どうして,2.4倍になるのかというのは,半分に切り続けるということであるところに収束していく,無限級数の話などを持ち出さなければあなりません。道具を使うとき,それがどうしてできているのか構造などよく知らなくても使えます。小学生がパソコンを使っているとき,それの仕組みを知らなくても使えます。
道具を使うとき,それは使えると思う,信じることで使えるのです。これはだいじょうぶかなと思っていると使えません。
教室でも同じで,先生は使えるものとして扱っていても,子どもの中には,どうしてそうなるのかがとても気になって使えなくなっている子もいるかも,というような話をしました。これは共感してもらえました。
数学を使えば見通しが持てるという二つ目の話。
<数学ツカイのレポート>のレポート_f0213891_12561917.jpg
ここで大切なのは,A+B=√2(S-のりしろ)
の式で右と左が同じということもあるけれど,一番使える話をしました。
ABSの三つの数字のうち,二つが決まれば,後一つは必ず決まるということです。
すなわち,元の正方形の紙の大きさが決まっていれば,Aを決めれば,Bは自由にできないで,これと決まるということです。
ABを決めれば,それを正方形の紙で作るときの大きさがわかるということ。
(今回の講座ではこの二つで見通しを持てる数学という話は伝わった気がします。それで,三つ目の例としての銀河Kの組合せの話はしませんでした。銀河Kは4枚組だと全部で16通り,9枚組だと512通り。16通りだとすべて見てみようという気になるけれど,512通りだとみる気にならないという見通しを持つことができる,というような話。)
次にデメリットの話。<数学はローカル>という話。
詳しく書くのは選びません。
今回,京都でするということでわたしの中で早くから思いついてまとまった話です。しかし,上に比べると時間がたっていないので練れていない分,このブログには書ききれません。
京都の三条,四条の<条>を確認してから,同じように住所に<条>を使っている北海道の話をしました。
同じ<条>を使っているのですが,その表記の仕方は全く違うという話です。
京都は通りを示して,北海道はブロックを示している,だから交差点の表記がまったく違うという話です。
これ,京都の人にとっては,ほんとうに身近なことなので,ちがうということを実感してもらえた気がします。
京都式と北海道式で通じた気がします。
このあと,角度の表し方の三つ。<360度式><400度式><ラジアン(数学者が発明したもので,分度器を使わずに角度を表現する)>
使うとき,方式が違えば使い方も変わるということです。
このデメリットの話は,もっと伝わりやすいように考え直す必要があるなと考えています。
<京都式と北海道式><角度の三つの表現>に,思っていた<時間の表記の仕方>は今回の講座では話しませんでした。
1.5分=1分30秒
同じだけどちがう。違うのは何か,時間の表記の仕方が違うのです。どちらが正しいということではなくて,どの方式かということです。
***
算数サークルということでわたしから質問をしました。
算数教育を考えるとき,足し算には2種類あるといいます。<広場に5人と3人います。合わせて何人。(合併算というと本田さんに教えてもらいました)><広場に5人います,3人来ました何人になりましたか。(添加算,本田さんによる)>。でも,この二つは足し算といいます。では何が一緒なのですか。違いじゃなくて同じところ何ですか?とたずねました。このときは,わたしの質問の意味が伝わっていない気がしました。<そんなの足し算に決まっている,同じところは足し算だから>という感じかなと。それで次の質問に行きました。
<足し算と引き算はちがうといわれますが,何が違うのですか?どう違うか説明してもらえませんか?>
これも相手をしてもらえない気がしました。<こいつは何を言ってるんだろう,足し算と引き算,見れば違いが分かるのでは>といわれている気がしました。
そこで,わたし。
「中学に行くと,
5-3=5+(-3)
と教えられて,引き算と足し算がイコールで結ばれています。ちがうものが同じなのです。
さらにこの式は
5-3=5+(-3)=-3-(-5)
と三つとも=なのです。
これ,全部=で結ばれているのです。」
という話をしたら,算数サークルの人から,そこは,小学と中学の違うところで難しいというところだと教えてもらいました。
わたしにすれば,合併算と添加算の違いではなくて同じところ,どちらも足し算というときの<同じ>ところをたずねたのです。合併と添加で分けた足し算,では,合併も添加も使わずに,しかもどちらも含んでいる足し算の説明・意味とは何か,それを知りたかったのですが,その応えは得られなかったということです。
***
数学はローカルということで,平面上の位置を表す二つの方法を示しました。
直交座標と極座標。どちらが正しいではなくてどちらも平面上のすべての点を表示できるところがすごいと。
***
このあと,<次元>の話。
課題1
1から9までの数字を二つのグループに分けたとき,どのように分けているのか。
といって,
13579  2468
と書いて,この二つを分けている理由をたずねました。
これは,
奇数   偶数 です。
では,次。
2357   4689

応えは書きません。
1234  56789
これも応えは書きません。
次。
23457  1689
これも応えは書きません。

課題2
右左の話
・三つのサイコロを二つのグループに分けたとき,同じところちがうところを言葉にする。

右左はどうして決まるか?という話。
右左にかかわる話をいくつか。
<右京区と左京区><右翼と左翼><右回りと時計回りというけれど,どうして時計は反対に回らずに今の方向に回したのはなぜ?><陸上競技でトラックは左回りに回るのだけれど,競技規則には左回りとは書いていない。結果としては左回りなのだけど,どう書いてあるか>などをしました。
右左の話コレクターなので,おもしろい話は大好物です。よろしく。


課題3
割合は計算でできている
簡単な説明で理解してもらえました。しかし,これも丁寧にやることはできるなと思いました。

これで話は終わり,3時前。休憩をしてからおりぞめをしました。
<〇つ折り>のプリントを使って〇つ折りしてから染めてもらいました。
わたしは疲れていたので,ここは夏目さんと知代さんに手伝ってもらい,たのしんでもらいました。
みなさんの作ったのを写真に撮っていません。残念。
*******
<数学ツカイのレポート>をレポートすることでリピートになり,改めて考える機会になりました。
そうすることで<メリットとデメリット>の話がまとまっていないことに気がつきました。
メリットにあたる部分はよくできているのですが,デメリットにあたる部分がおかしい。メリットはおりぞめでの話。デメリットは別の例ばかり。例はおもしろいのだけど,なんとなく違う。
<メリットとデメリット>というとらえ方も違う気がしてきました。
使うといい点…見通しが持てる
使いにくい点…別式がある
<条>の意味の京都式と北海道式にあたる典型的な例が見つかっていない。
おりぞめの中で<どちらも成り立つ方式>の組合せを考えてみた。
・何回折るかといくつに分けるかで違う〇つ折り。
・折りはじめは,三角か四角か。
・1234567か,2461357
***
<方式の有用性>と<方式の相反性>というのもできるかも。
こんなことをしているうちに新しい気づきを発見できるかも。
まだまだ考える余地がありそう。たのしみます。

こんな機会を作ってくださった本田さん,参加してくれた皆さん,本当にありがとうございます。

*****
夏目さんを京都駅まで送ることになり,一緒に車で移動。
夏目さんには相模原で会ったとき,京都の条と北海道の条の話をしました。それで会場に着くまでに歩いていたら,碁盤状だね夏目さん。斜めはないのかなと道を見ていました。
すると,河原町五条のあたりで広い斜めの道。あったということになりました。
路地のような道ではなくて,広い道でした。わたしはきっと事情があるのだろうと,ネットで調べてみました。
これだろうなという記事をブログで見つけました。

京都にある斜めの道路の理由がいいです。
わたしの好物です。話のネタがまた一つ増えました。












2
















by orizome | 2017-05-15 01:25 | その他 | Comments(0)

紙に染料をつけて染めるものづくりの<おりぞめ>噺。ものづくりはたのしさつくり。おりぞめ染伝人(山本俊樹)メールアドレス orizome●live.jp
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