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<水プールに輪ゴムを>という提案

2019年6月18日
<水プールに輪ゴムを>という提案_f0213891_22514931.jpg
まずは,【標準化という試み】という前書きから読んでください。しかし,本題から読みたい人は下の方の【水プールの標準化の提案】というところからお読みください。

【標準化という試み】

●いいなと思うこと
わたしがおりぞめを研究していて一番いいなと思うことは<おりぞめはこうでなければならない>ということがものすごく少ないことです。はみ出したと思うことをしてもちゃんと染め紙ができます。<ちがいはあってもまちがいはない>ということで生まれる安心感はわたしを育ててくれたと思っています。
しかし,これが<おりぞめを伝える時の難しさ>につながります。
講座などで<こうしたらいいのでは>といわれることがあります。そのとき,<それはだめですよ>ということはほとんどありません。「思ったように,やりたいようにやってください」と素直に言えます。

●流(りゅう)の問題
えー,じゃあ,<あれもあり,これもあり>と教えればいいとなるかもしれませんが,それも難しいです。一つは,限られた講座の<時間>,多様な内容に合わせるための多種のモノの<準備>,そして何より,<じゃあ,どうすればいいの>となるからです。
<正しいおりぞめはない,豊かなおりぞめがあるだけ>とわたしは言っています。その豊かさがもたらす難しさです。わたしの言葉でいえば<流の問題>です。
流の問題は一言でいえば,<やり方は色々ある>ということです。おりぞめには正解というやり方がなくて,いろいろなやり方でできるということです。
ですから,おりぞめはそれぞれの人のやり方でやればいいということです。
しかし,<あれもあり,これもあり>というやり方を伝えるということをわたしは選んでいません。わたしは<標準化>という道を選んでいます。
正解ではないけれど,<まずはこれでいい>という標準,スタンダードを作ることをしています。

●標準は変わる
しかし,<標準>には大きな問題があります。それは,正解がないからなのですが,<標準は変わる>ということです。
<変わる>大きな要素としては,<時間><空間><人間>の三つがあります。
具体例を挙げて書きます。
わたしが《おりぞめ発表会》を発明した1999年ごろは,色は当時の染料セットをそのまま溶いた7色でしていました。それから色数が増えたこともありますが,色の三原色ということで<黄・赤・青>の三色ですることが普通になりました。そして,今では,インクジェッタープリンターの三原色と同じ色合いの<黄・ピンク・青>を使ってすることからはじめています。
ここでいう<時間>というのは歴史ということで1999年ごろの標準と今の標準は変化しているということです。
そして,<空間>というのは地域,かかわる人間の変化です。はじめはわたしだけ,わたしの周りだけだったのが,さまざまな所で実施されることで選択肢も増えてきました。はじめは<25cm×1メートル>の紙でしていた《おりぞめ発表会》は,わたしの研究仲間である西岡さんにより<長さ75センチ>という選択肢が示されて,今では25cm×75cmが標準のサイズになっています。
《おりぞめ発表会》を授業でするということでいえば,1メートルでも75cmでもできます。もっと言えば,幅だって25cmでなければならないことはありません。しかし,<何センチでもできますよ>と示すのではなくて<25×75>の紙で実施してくださいというのがわたしのいう標準化です。そして,それは時間と空間を費やして標準化されていくということです。

●<人間>の変化
《おりぞめ発表会》で話を続けます。
《おりぞめ発表会》を年に1回だけするのではなくて,繰り返して実施しようということで,毎月《おりぞめ発表会》をして,その染め紙を使って季節感のある掲示をしようという<月並おりぞめ発表会>をわたしが提案しています。
また,25×75の紙では大きいので,25×25の紙で,繰り返して季節感のある掲示ということで<月並みおりぞめ発表会>をもとにして<月並おりぞめ掲示>という提案を戸田さんがされています。
わたしも講座では,支援学級・学校の先生向けにするときには<月並おりぞめ発表会>を中心に,普通学級の先生向けの場合は<月並みおりぞめ掲示>というように相手に合わせて標準が変わっています。
学校の授業で子どもたち相手にするときと,趣味的に大人相手に実施する時では<標準>が変わってくることはあります。
ですから,<標準>という正解があるのではなくて,<標準>という選択肢を選ぶということになります。
*******
ここまでのまとめ
★<おりぞめに正解はない>,しかし,あれもあり,これもありでは初心者の人が楽しめるとは思えないので,まずは<標準>を作って伝えることをしている。
★<標準>といっても,それは,時間や場所などによって変わってくるし,相手によっても変わるので,<標準を選ぶ>ということになる。
では,本題にすすみます。
*******
*******
【水プールの標準化の提案】

●水を使う折り染めの現在
<今まで偶然にできていた模様が意図的に作ることができるようになった>ということで始まった<水を使う折り染め>ですが,今では,水を使うことで今まで見ることができなかったような模様をつくることもできてきました。
<水プールに輪ゴムを>という提案_f0213891_22520338.jpg
<水プールに輪ゴムを>という提案_f0213891_08014038.jpg

そして,はじめは,教えることが難しかったですが,今では小学5年生にわたしが授業として実施することもできています。
<水を使う折り染め>を使いこなせられるように教えるというところまではいきませんが,<たのしく誰にでも体験できる>というところまで到達しています。

●水プールという発明
<水を使う折り染め>については,まず,わたし自身が使えるということが目標でした。そして,それを伝えることをはじめました。その結果,「折り染め〈仕方と模様〉手はじめ」というプランをつくりました。このプランは,水を使う折り染めをイメージするには最適だと今でも思っています。
その後,<水を使う折り染め>の体験を目標にした「挑染…染めてみよう」というプランができて,これは小学生から1時間で実施することができるプランです。
どちらのプランも<広げ水>という技術が中心になりますが,そのために<水プール>というのが重要になります。
平らな容器に水が入っているだけですが,そこに染めた紙を置いて水で染料を広げることで模様ができるというわけです。
広げ水において重要なのは<水の深さ>です。それを誰にでもわかるようにしたのが<水プール>の工夫です。

●<水の深さ>問題
実は,わたし自身が広げ水をするとき,テキトーな深さでやっていることは告白しておきます。
わざと浅い深さでしていることもありますし,深いとき,水を抜くのが面倒なときは自分の手で持って水に入る位置を保つということもします。
<水の深さ5ミリ>といっていますが,実は,テキトーで十分なのです。むしろ,深さによって,こんな風に模様が変わるのかも,あるいは,変わらないかもという感じで自分の経験を増やしているというのが実際です。
しかし,初心者の人たちや一度しか染める体験をしないかもしれない人たちにそこまで求めるのはちがうと思って水の深さを決めて実施しています。
はじめのころは,<深さ5ミリ>といって,それは<深さ3円>といっていました。1円玉の厚みが1.5mmなので3枚重ねたぐらいの深さということです。1円玉ではなくて,直径5ミリの針金などいろいろ考えましたが,直径4ミリのストローをマスキングテープでとめる方法にたどり着き,これで小学生たちとも実施できました。

●<水プール>で輪ゴムという選択肢
しかし,わたし自身は,なんとなくマスキングテープ+ストローというのは不満でした。もっと,身近で簡単にできるものはないかと考え続けていました。
わたしが自分のために一つだけの水プールを作るのであれば,5ミリの段差のある容器,あるいは,5ミリ角の金属棒を使います。しかし,どこでも,誰でもということを考えれば,<標準化>ということが必要になります。
おりぞめをするということでいえば,<わたしにできる>ということで十分なのですが,<人と場所を選ばずに伝える>ということでいえば,一般的な方法を創り出す必要があります。それが<自分ができればいい>というおりぞめ作家ではなくて,<おりぞめの楽しさを伝えたい>というおりぞめ染伝人の研究です。
そして,ストローに替わるものとして見つけたのが少し幅広の輪ゴムです。
普通,よくある輪ゴムは16号ですが,これは折径が60mm(直径38mm)で切幅が約1mmです。実は,輪ゴムには切幅,輪ゴムを置いたときの高さがいろいろあります。わたしが目を着けたのは4.5mmと6mmです。
そこらで手に入るというものではありませんが,ホームセンターにあったりしますし,ネットであれば普通に手に入る品物です。
わたしが手に入れたのは,
100均で手に入れた折径120mm(直径76mm)で切幅6mm。(どこの百均でもあるという品物ではありませんが,ある所にはあるという品物です。)
ホームセンターで探したら,切り幅3mmや11mmはありましたが,わたしの求めているのはなかったので,ネットで手に入れました。
切幅4.5mmで折径60mm(直径38mm),折径160mm(直径102mm)の2種類です。
早速使ってみました。どれを使うかについて結論から言えば,この3種からだと切幅6ミリ折径120mmです。
4.5mmだと水の深さが切幅を越えれば浮いて動きます。ですから深さがわかりやすいのですが,なんとなく6mmの方が越えないようにとすることで5ミリぐらいを維持できそうな気がしました。
どういう輪ゴムを使うかはこれからの研究ですが,ストローではなくて<輪ゴム>というのがわたしの標準になっていくと思っています。
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実際に輪ゴムで講座をやってみるのは7月に入ってからですが,わたしの中ではこれがわたしの講座の標準になっていくと予想しています。そして,深さを輪ゴムでというわたしの標準が多くの人の標準になっていく気がしています。
そこで,ここに提案として残しておきます。
***
簡単に言ってしまえば,水の深さの目安にストローではなくて<輪ゴムを使う>というだけのことなのですが,研究の過程も残しておくことにしたので,これだけ書くことになりました。
*******
さらにおまけを書いておきます。
わたしは<おりぞめは人生のオプション>と思っています。ですから,みんながみんなする必要はないと思っています。しかし,オプションとして選んでもらった限りは<たのしい時間><たのしい体験>を保証したいと考えています。オプションですから,そのあとおりぞめをしなくてもいいと考えています。人生で一度だけの体験でも<たのしい時間をすごす>ということにわたしは意味があると思っています。どんな意味があるのかと問われても,今すぐには応えることはできませんが,これからその応えを探していくためにも<オプションとしてのおりぞめを多くの人に体験してほしい>と思っています。
そのオプションのためにわたしは人生を削って研究をしたいと思っています。
まあ,そんなやつもいていいと思っています。そう考えれば,わたしにとっていいなと思うオプションをメインに研究している人の存在はありがたいと思っています。
そして,<ものづくりはたのしさづくり>とさらにおりぞめを進めていきたいと思っています。
英語表記も考えています。
ORIZOME make us happy!!
べたかもしれないけれど,わたしは本当にこう思っていますし,実現していると思っています。
たのしみます。





















by orizome | 2019-06-18 23:04 | 紙を染める | Comments(0)

紙に染料をつけて染めるものづくりの<おりぞめ>噺。ものづくりはたのしさつくり。おりぞめ染伝人(山本俊樹)メールアドレス orizome●live.jp
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