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研究途上報告…おりぞめ来楽部にて

2020年1月14日
12日のおりぞめ来楽部で,浦木さんの進行のもと<広げ水>を体験した後,わたしの発表をしました。
研究途上なので,まとまって報告しないのですが,それでもいいと
おりぞめ来楽部は参加する人が自分のやっていることを気楽に発表できる場でありたいと思っています。
という浦木さんの言葉を頼りに,10月以来始めたことの現状を報告しました。
ひとことで言えば,<混色ではなくて単色で染めるも選択肢>ということです。『みんなのおりぞめ』の本では<黄・ピンク・青>の三色だけでいろいろな色を作ります。例えば,<橙><茶><紫><緑>などは混色して作ります。それをそうではなくて,混ざっていない,市販されている染料の状態の単色の<橙><茶><紫><緑>を使って染めてみようというわけです。
例えば,市販で手に入るものとしては茶色系は四色あります。
おりぞめ来楽部では<茶>系統として4色と<オレンジ>を用意して染めたい人にはどうぞということでしました。
研究途上報告…おりぞめ来楽部にて_f0213891_23171198.jpg
上の段の右側3枚と中断の右側2枚がそうです。
これだけ見れば,<単色>で染めると鮮やかでいいとなるかもしれませんが,事はそう簡単ではありません。
***
次のAとBではどちらが好きですか,あるいはどちらがいいと思いますか。
A↓
研究途上報告…おりぞめ来楽部にて_f0213891_06423996.jpg
B↓
研究途上報告…おりぞめ来楽部にて_f0213891_06430586.jpg
あなたはどちらを選びましたか。
Aは『みんなのおりぞめ』の三色で作った深緑・茶色・グレーを使って染めました。同じ染め方(2辺で夾角広げ水)で色の組み合わせを変えればどうなるかということでコンプリートしました。
Bは,わたしが手に入れた単色の染料の中から<深緑><茶色><グレー>を選んで,Aと同じ組み合わせで作りました。
(ちなみに,おりぞめ来楽部ではほとんど全員がAを選びました。)
***
おりぞめをしていて,すばらしいなと思うのは,<みんなちがってみんないい>,わたしの言い方では<ちがいはあってもまちがいはない>ということが実感できることです。
しかし,この言葉,おりぞめの中に限っても,実感できる場面はあっても使うことはむずかしいのです。
ここまで,読んで,上のAとBで,「Aがいい」とか「Bがいい」とか言ううのではなくて,「AとBのどちらもいい」と言うのか,と思われた方もいるかもしれません。
わたしはそうは思っていません。AとBのどちらがいいと言うのはあってもいいし,それはあるだろうと思います。
では,<みんなちがってみんないい><ちがいはあってもまちがいはない>というのをどう使うのかと思われたかもしれません。
わたしはこうしているということを書いておきます。
例えば,Aが好き,いいとなれば,<混色した方がいい>となります。ここまではいいのです。
人間の考えというのは,ここまでくれば,<単色の方はだめだ>となるのです。わたしはそれが<みんなちがってみんないい><ちがいはあってもまちがいはない>を使っていないと考えています。
***
おりぞめ来楽部でもこんな話をしましたが,<何を言っているのかよく分からない>という空気を感じました。そこで,整理してこんなような話をしました。
選択肢のアとイがあった場合,アに〇をつけたらイには×をつけてしまうのです。
わたしはそれがちがうと思っています。
では,アも〇,イも〇なのか。それも違うなと思われると思います。実はわたしも何でもかんでも両方に〇をつければいいとは思っていません。
実は,<選択肢>というのは大きく言えば2種類あります。アとイの二つの選択肢として書いておきます。
一つは,アとイで誰でも認められるように決着のつく場合です。この品物は,ア 一万円以上・イ 一万円未満という選択肢の場合は誰にとってもどちらかに決まっています。
もう一つは,誰でも認めるように決着がつかない場合です。この品物を,ア 買う・イ 買わないという場合,誰でも一緒というわけには行きません。
誰もが認める決着がつく場合は〇と×です。
上のAとBの場合では,どちらが<単色か?>という問題であれば,決着がつきます。見てその場では判断できないことはあるかもしれませんが,作る元からたどれば必ず決着がつく問題です。
しかし,どちらが好きかという問題は誰でもというわけには行きません。この場合はどう考えるか。
わたしはこう考えているということを書いておきます。
どちらに〇をつけてもオーケーなのです。その場合は,どちらかが〇でどちらかが×とわたしはしません。
どちらも〇で選んだ方は◎というわけです。
○と×ではなくて,〇と◎とすることがわたしにとっては<みんなちがってみんないい><ちがいはあってもまちがいはない>を使うということです。
***
余談を一つ。
おりぞめの講座を始めた初期のころ,染め方をした後,その染め紙を使って何かを作るというソメカタとツカイカタをセットで講座をしたとき,ソメカタはわたしでツカイカタは別の人というパターンがありました。
そのツカイカタを教える人が,ソメカタを教えたわたしの後に登場して,「染めるだけではつまらない,染めた紙をどう使うか」というような発言をよくされていました。わたし自身は<染めるだけでいい>といったことは一度もないのに,言ったように言われるのが嫌だったことが残っています。これ,<染め紙を使うことに○をつけるために染めるに×をつける>というパターンだとわたしは思っています。
自分に〇をつけることは相手に×をつけることになりがちなのです。わたしはどちらも〇で,どちらを選ぶかという問題で選んだ方に◎をつけるというパターンで行きたいと思っています。
ですから,ツカイカタのはじめは<染めるだけではつまらない>ではなくて<染めた紙を使ってさらにたのしみを広げましょう>とわたしの選択肢。
***
話を戻します。
混色・単色問題も切り口を変えれば選ぶ選択肢も違ってきます。
例えば,上の混色グループのAと単色グループのBであれば,わたしは混色のAの方が好きです。
しかし,その中の組み合わせが同じものの混色Aと単色Bの場合。
研究途上報告…おりぞめ来楽部にて_f0213891_07593677.jpg
わたしは,単色Bのグレーの方が好きです。もっと言えば,これは2辺をグレーで染めているので,一辺は混色グレー,もう一辺は単色グレーというのもおもしろいかもしれません。そんな選択肢をたくさん作って,染めて確かめていきたいと思っています。
***
誤解されるかもしれないことを書いておきます。
おりぞめにおいて〇×をつけてはいけないと思われたかもしれませんがそんなことはありません。
〇×のこともあります。例えば,コピー用紙,新聞紙,画用紙では折り染めはできないとはっきり言えます。おりぞめができるかと言えば×と決められます。
〇か×かを言いたくなったとき,それは本当に誰もが認められることなのかということです。そうでないときは,両方○で<わたしはこちらを選ぶ>ということです。コピー用紙で折り染めをするということは選べません。
わたしが言っているのは,〇◎で◎を選んだとしたら,選んだ人にとっては選ばないという意味で〇は×と同じなのですが,それは誰もが認める〇×とは違うということです。<わたしにとって>と<誰にとっても>という風に選択肢を分けるということです。
********
こんな研究を始めたきっかけを書いておきます。
11月のワークショップに向けて,課題を研究している時に,水を使う折り染めが中心のワークショップなので<染料>についても話題にしたいと思っていました。
というのは,まずは基本の三色(黄・ピンク・青)でいいと思ってはいますが,五色(黄・ピンク・赤・紺・青)の五色も使って<水を使う折り染め>をしてたのしさを広げたいと思っています。
そして,三色の混色で作った<赤と紺>で染めた場合と単色の<赤と紺>で染めた場合を比べるというのをやりたかったのです。
ワークショップではそこまでいかずにわたしにとっては研究途中の<単色の赤と紺>でいろいろ染めたらどうなるかというのを見せるだけで終わってしまいました。
******************
染料の話を続けますが,今日はここまでにしておきます。
一つ質問?をしておきます。
おりぞめ来楽部では<オタメ紙>という言葉を紹介しました。実際に試して染めた紙という意味ですが,実は,もう一つ,言葉を考えています。
<手素図>といいます。
この言葉は何と読むと思いますか?
どういうことと思いますか?
こんな質問に応えなくてもおりぞめはたのしめますし,つづきの染料の話を読むことはできます。















by orizome | 2020-01-14 10:35 | 紙を染める | Comments(0)

紙に染料をつけて染めるものづくりの<おりぞめ>噺。ものづくりはたのしさつくり。おりぞめ染伝人(山本俊樹)メールアドレス orizome●live.jp
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