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たのしさの先入観…中学生と広げ水  <その三 たまモノ作成編>

2020年6月23日
授業の前半20分で広げ水で染めて,後半でたまモノ作り。
滝本先生の工夫や声掛けが楽しめます。
次のような文章があります。
この眼を選んで、はさみで切って、貼り付ける、ここは思っていたよりも時間がかかりました。自分らしさを表現する時間だからかな。とっても楽しそう。
たまモノに目を着ける場面,わたしも同じ体験をしています。
サッと目を着ける子,時間のかかる子,それぞれの子が<選んで知る自分の心>という自己発見の時間だとわたしは思って,心地よい時間の一つです。
中学生のたまモノづくり,ご覧あれ。

*******

 ★実施記録…たまモノ編

 

<たまモノ>のすすめかた

後半は、<たまモノ>づくりです。

本来の手順は、「卵のかたちに切ってから、折って染める」なのだそうです。今回は<先に障子紙を折ってから子どもたちに配った>ので、「染めてから、卵型に切る」という順になりました。

たのしさの先入観…中学生と広げ水  <その三 たまモノ作成編>_f0213891_06201120.jpg

理科室の小さな黒板には、前もって<たまモノ>の作り方の説明が書いてあります。「おりぞめ」の説明と<たまモノ>の説明は、あえて分けて2段階にしました。(一度に説明すると、混乱してしまうと思ったので)

型紙がついている説明書も用意してあります。

子どもたちのアイロンがけが、あと残り数人のタイミングのところで、

「は~~い、次の作業の説明しますよ。プリント配ります」と、各テーブルに3枚ずつ「型紙・目玉つき説明書」を置いていきます。「もう2枚ともおりぞめのアイロンが仕上がった人は、今配ったプリントを読んで待っていてください。はさみも用意してね」

 

はさみとのり、忘れちゃった人には貸します。中央の机に置いてあるからどうぞ。(前日に持ち物は「はさみ・のり」と言ってあります。でもあまり期待してません。半数以上が忘れても大丈夫なようにスタンバイ。特に男子は、持ってきていても平気で教室に忘れてくる・() 叱ることもなくなります。携帯用の小さいハサミで切りにくそうにしている子には、どんどん「こっち使う?」と配ってしまいます。なんたって、限られた時間ですから。)

 

アイロンがもう少しで終わるくらいのタイミングで、次の説明に入ります。

「はい、はさみを出して。まず、プリントの卵型を切り取りましょう」

「切り取った<たまモノの型紙>を、今、アイロンをかけたおりぞめに乗せて、卵の形をシャーペンか何かで写し取りましょう。そして、はさみで切り取ります。卵型のおりぞめが2枚できます」(男子チームはこの作業にけっこう苦戦・()。)

 

たのしさの先入観…中学生と広げ水  <その三 たまモノ作成編>_f0213891_06202094.jpg
たのしさの先入観…中学生と広げ水  <その三 たまモノ作成編>_f0213891_06202842.jpg

・・前半:午前の部は女子。この作業を難なく素早くクリア。女子は時間的に1コマ40分の枠に2~3分の余裕を持ってすべての作業を終了。だけど、男子も同じ時間配分でいけると思っているとたぶん失敗します。一般的に中学生は女子の方が、作業系は格段に上手な子が多いですから。(今回は、分散登校のため、女子が男子を手伝うことができません。ふだんは女子に助けられているワタクシ)

・・後半:午後の部は男子。ちょっと時間がキツイかなって予想しました(人数も男子の方が多い)。なので、女子が使い終わった「切り取った卵型の型紙、使い終わったらちょうだい」と回収させてもらって、男子には「型紙もう切っておいたから、使ってもいいよ」としました。これでたぶん数分は節約できたかな。

たのしさの先入観…中学生と広げ水  <その三 たまモノ作成編>_f0213891_06203904.jpg
 

続いて<たまモノ>の命の眼。全部で4種類印刷しておきました。基本の眼。応用の眼。オプションで自分で書き込めるように「白目」にしてある眼。

 

たのしさの先入観…中学生と広げ水  <その三 たまモノ作成編>_f0213891_06204504.jpg

全員にまず「基本の眼」を切るように束縛してみました(俊樹さんの説明にそうあった)。黒目が中央にあるものです。それをプリントから切り取って、さっき切った<たまご型>に自由に置いてもらいます。同じ眼でも置く場所によって表情が豊かに変わるのを体験してもらってから、気に入ったところに貼ります。1つめの<たまモノ>の完成。

たのしさの先入観…中学生と広げ水  <その三 たまモノ作成編>_f0213891_06205355.jpg

もうひとつの眼は、お好みでチョイス。白目のものにオリジナルを書き込んでいる子も3割くらいいたかな。楽しそうにお絵かきしていました。

 

この眼を選んで、はさみで切って、貼り付ける、ここは思っていたよりも時間がかかりました。自分らしさを表現する時間だからかな。とっても楽しそう。

 

次のクラスのスタンバイも同時に

眼を工夫している子どもたちに声掛けしながらも、実は私は大忙しです。

<次のクラスの準備>を子どもたちが作業している間に、さりげなくやっておきたいからです。

なんたってうちの中学生、どのクラスも、授業終わりのチャイムがなるやいなや、あっという間に、次のクラスの子どもたちが理科室にやってくるんですもの。

ここは、その場で次のクラスの動きを予想して、思いつく限りのことをやりました。瞬発力?を必死で発揮しました。考えながら動きまくるカンジ。

 

作業中の子どもたちの間を回りながら

「は~い、これから<広げ水を回収しま~す>」と声をかけ、水の入ったシャーレを集めていきます。かごの中に、水を捨てる容器(大きめのビーカー)をセットして、子どもたちの作業の邪魔にならないようにしながら、「お水もらうね」と動きました。

水を容器に空けながら、シャーレ18個を各テーブルから引き揚げます。そして、すばやく新しい水を注いで、次のクラス用の「広げ水」のスタンバイ。さらに「卵型の型紙、もう使い終わった人はちょうだい」と回収も行います。

 続いて、最初に材料を配ってあったケースも6班分回収。そこにあらかじめ数えておいた「三角の紙2コとペーパー1枚」を人数分セットにしたものを入れて6班分整えます。男子チームには「卵型の型紙」もサービスで3枚ずつ入れます。

 

作業中の子どもたちには、「切ったはじっことか、輪ゴムとか、いらないものはもうひとつのケースにぜ~んぶ入れちゃってね。もし、おりぞめのはじっことか持って帰りたい人はもちろんどうぞ」と声かけしました。

たのしさの先入観…中学生と広げ水  <その三 たまモノ作成編>_f0213891_16311004.jpg

ラスト5分。そろそろ出来上がった子が目立ってきました。「おつかれさま~。そろそろ早い子はできあがってきたみたいですね。

そしたら、できた2つのうち<気に入った方を1つだけ、提出してもらいます>。もう1つは、おうちに持って帰って、飾ってください。「<コロナの魔除け?>になるかもねっていうのは、冗談ですけど、おうちの人にも見せてあげてください」

入口そばの机の上に、紺のラシャ紙を敷いておいて、そこに1人ひとりのせてもらいました。(左・女子チーム・右・男子チーム)

 

 <たまモノ>を机の上に並べながら、子どもたちが帰っていきます。入れ替わるように次のクラスの子どもたちが理科室に入ってきます。

 

休み時間も勝負で、完成へ

 休み時間も、再び私は大忙しで動きます。材料を入れたケースを6つの机に配る。「切れ端など」入れたケースの中身を段ボールの箱に空けてカラにして、また机の上に戻す(ゴミ箱の中におりぞめが見えるのはイヤだったので、見えないようにお片付け)

「おつかれさま~、またね」「こんにちは~、早いね~、元気?」なんて子どもたちに声をかけながら、必死で準備。必死だけどたのしい。ものすごくハイテンションになっている自分が、なんだか愛しく思えてきちゃいます()

 

 そんなこんなで、初日は女子2クラスを2連続。ギリギリながらも40分で染めとたまモノまで完成。「すっごく楽しかった!」の声に元気をもらいます。

その翌日は午前に女子2クラス。私もどんどん手際が良くなって、子どもたちにもゆとりが生れてきます。ここでは、感想文まで書いてもらえちゃいました。

(これが、最初に紹介した感想文です。これを読んだら元気が出てきました!)

 

午後からは男子40×4クラス連続!という過密スケジュ-ルの中、おりぞめ<たまモノ>が、136人分完成したのでした。

終わった時には、57歳タキモト、足腰がガクガクになっていました()

 

 とりあえず、女子全員分・男子全員分をそれぞれラシャ紙の上に並べてみます。すごい迫力。さて、この<たまモノたち>どうまとめましょう。1クラスごとにする? それとも?? ここで峯岸さんに写真をメールで送ります。「どうですか?」


*******

いろいろなところへの気配り,目配り,手配りに感心しました。この授業,中学生のわたしも受けたかったなと。

特に,

ゴミ箱の中におりぞめが見えるのはイヤだったので、見えないようにお片付け

というのにはびっくり。もし,続けてするというようなことがあれば,選択肢の一つにしたいと思いました。

滝本先生に「お疲れさま」と声をかけたくなりました。

さて,136人分をどう飾るか。峯岸さんの反応はいかに。

最終話,<飾ってみて>は,本日午後6時23分より公開予定です。

おたのしみに。












by orizome | 2020-06-23 06:23 | 作品をつくる | Comments(0)

紙に染料をつけて染めるものづくりの<おりぞめ>噺。ものづくりはたのしさつくり。おりぞめ染伝人(山本俊樹)メールアドレス orizome●live.jp
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