〈やりすぎる〉という選択肢

2021年3月7日

〈ステンドおりぞめ冒険ハジメテ〉というガイドプランを1本の映画に例えれば，あちらこちらとめぐっていくロードムービーです。

その映画のハイライトというかクライマックスはX格子の畳み違えのサンコイチです。

3月1日に報告した染め紙。

畳み違え，X格子なし，畳み直しを並べたものです。将来的には，このX格子の畳み違えだけが広まっていく気もしますが，それも仕方ないなと思います。それだけ魅力的です。

さて，今回は，ハジメテからの先でわたしが〈やりすぎてしまった〉ということを報告しておきます。

●墨染め以外でのX格子リダイ

墨のように広がりにくい紫でやってみて，そのほかの染料でもやってみることをしました。それをただひたすらしたのが2日に報告したこれ。

これ，きちんと資料として残すために気をつけてやりました。そうした反動で好きにやりたくなって，リダイをいろいろしました。

それがこれ。

そうして意識したのがこれら。

この面の墨染めは一枚で墨染めでマスキングされた状態とそうでない状態が見られるのがおもしろいとわたしは思っています。しかし，これは，X格子の畳み違えに比べれば，通好みというかマニアックというか，二番手というか，そんなイメージです。

ここまで来たら，墨染め以外の染料の面染めでやってみたくなります。

やっちゃえとやってしまいました。

同じ染め方でそれぞれの染料の面染めで畳み直しと畳みちがいをしました。

その次は，いろいろな染め方でやってみようとなります。

これ，全部で9枚ではありません。同じ染め方で畳み直しと畳み違えをニコイチで染めたものは半分ずつにしてあります。全部で17枚あります。

リダイというのは染め直しなのですが，どの染め紙をどのように染めるかという組み合わせを選ぶことです。

それで，あれこれやっているうちに，予想とはかなり違う，思わぬ組み合わせに出会うこともあります。

それがこれ。

これ，青の面染めにピンク一色で角広げしたものです。

このとき，同時にしたのと組み合わせました。

畳み違えと畳み直し，そして，ピンク一色，青一色の場合。

組合わせる面白さです。

話としてはここまでで終わってもいいのですが，まだ続きがあります。

面染めで染めてもあまり面白くなかったのが黄色の面染め。なんだか黄色の量が少ない気がして，それならということで作ったのがこれ。

まず，紙の半分を黄色で染めてからそれをリダイしました。

これをやって，〈半分〉というキーワードで，また，思いつくのです。

この〈半分，黄色。〉の始まりは面染めで紙の半分ぐらいしか染まらないことです。

これで染めると一枚で素の模様とステンドおりぞめ模様の二つが見られます。しかし，これで畳み直しと違えをしてもX格子の様に劇的に違う模様という感じにはなりません。

うーんと思っていたら，〈半分，黄色。〉のように半分だけX格子というアイデアが出てきました。

早速作りました。

半分というより，途切れているというか破れているというか中途半端な模様になります。これだと一枚でX格子の畳み違えと元の模様が見られるだろうということで染めてみました。

予想通りです。きれいかどうか，好みかどうかは別にして，一枚の紙の上でX格子畳み違えの効果を見ることができます。

ここまでやるかというわたし自身の印象です。こんな簡単なことと思うかもしれませんが，簡単には思いつきません。ここまでかかったということです。

墨染めでない他の染料の場合もやってみたくなりますが，それはこれから，組合せを選んでやってみようと思います。

＊＊＊

〈半分，黄色。〉をしたら，当然，あれはと，思われた人もいるかもしれません。

もちろん，わたしも思いました。というか，あれがあったから〈半分，黄色。〉という名前にしたのです。ここまで来たら，やりすぎるを選んで作りました。

結果は次の記事ということで。